4-2 中道

仏法は良く〝中道〟を説くと言いますが中道とは、世の中の存在を「有る」と見るか「無い」と見るかといった見解に立った時、「有るのでもなく、無いのでもない」と見るのが正しいとする仏法の概念の一つです。

この「有るのでもなく、無いのでもない」といった見解を〝非有非無(ひうひむ)〟といいます。中道の理論的主柱となる〝空〟を学ぶにあたってとても重要な概念です。

世の中は様々なモノから出来ています。そのモノの有り様を「有る」とみれば〝有〟で、「無い」とみれば〝無〟となります。

〝有〟は実在、〝無〟は非実在という意味でもあります。

モノが「有る」というのは解りますが、モノが「無い」とはどういうことか。これは人がモノを認識してはじめてそのモノが存在しえる訳ですから人の心を中心に考えるとモノが有る訳ではない。

このように〝モノ〟を中心に考えると「有る」、しかし〝心〟を中心に考えると「無い」。

この両極端から離れたところに実は真実があるとお釈迦様は悟りました。

その有でも無い、かといって無でも無い「非有非無」の真理として〝縁起〟が説かれました。縁起はお釈迦様が実在した正法時代における真理として顕された有にも無にも偏らない中道の非有非無(空)の真理です。


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