3-4 三界

 仏教における世界観は欲界・色界・無色界からなる次の図に示す三界です。この図の中で左側の項目の欲界が凡夫が六道輪廻する世界です。右側の項目を見ると天界の一番下の位がくい込んで地獄・餓鬼・畜生・人・天となって修羅がかけていますが、昔は修羅は天界に属していたとされますがその後人界に降りてきたとか云われておりましてはっきりしないので天界もしくは人界に存在すると考えて下さい。

 信心をしなくても凡夫は行いさえ良ければ六欲天に転生できます。昔の人達が立派な功績を残した偉人を亡くなられた後に神として信仰の対象としたりしてきたのはあながち間違っていなかったのかも知れません。

 しかしその六欲天ですが、図の右側へ視点をずらして見ると、天界の一番下の位でその上には色界と無色界の天界が連なっています。

 六欲界が信心経験のない凡夫でも転生できる天界なのに対し、色界の初禅天・二禅天・三禅天・四禅天は禅定によってのみたどり着けるとされる境地です。ですから四つの禅の天と書いて四禅天です。四禅天は禅によってたどり着く定静慮です。それに対し仏道修行を行じることで六道輪廻から解脱して四禅天(色界)に転生するのが生静慮です。色界は仏や諸仏が住む世界です。

 御本尊様の四隅に描かれている持国天・増長天・広目天・多聞天の四天王は天界の入り口、六欲天に位置します。弥勒菩薩が現在修行されているとされる場所もこの六欲天の中の兜率天にあたります。お釈迦様も仏になる前はこの兜率天において修行なされていたと仏典に書かれております。

 大聖人様は末法の衆生が禅定といった難しい修行を行わなくても天界の境地にたどり着けるように我々衆生の心の奥底に潜む無分別の境地(八識・九識)を御本尊として著されました。図の右側の天界の領域です。ですから御本尊の四隅には四天王が描かれているのです。


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