2-3.マナ識

 自我は色・受・想・行・識といった五蘊によって生じます。それを詳しく説明すると難しくなるのでここでは簡単な説明に止めておきます。

 人は目・耳・鼻・口・肌といった五感を使って外界の情報を感じ取ります。自分の手を自分の手と認識出来るのもこの五感の働きがあってのことです。五感によって得た外界の情報を意識として認識するのですがこの働きを仏法では、眼識(視覚)・耳識(聴覚)・鼻識(嗅覚)・舌識(味覚)・身識(触覚)といって 六番目 を 「第六意識」 と呼びます。この六つの識は普段我々が認識出来ている意識層で、更にその下に七識・八識といった無意識層が存在します。

 七識はマナ識(末那識)といって人間が本能的に自身を守る為に無意識のうちに働く識層です。心臓や内臓などが私達の意識とは関係なく活動し続けていることや、お腹が空いたり眠くなったりといった食欲、睡眠欲や物に執着する物欲、金銭欲など、人間には本能的に生きて行く為に備わっているさまざまな欲があります。このような「意識」とは全く無関係に無意識的に活動を続けているところがマナ識です。

 私達が自分のことを「自分」と認識するいわゆる「自我」と呼ばれるものが生まれるのもこのマナ識の働きです。


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