2-2.自我

 眼の前に二つの手があるとします。片方はあなたの手。もう片方は他人の手。二つの手に自他の分別が生じます。自分の手は自分の想い通りに動かすことが出来ますが、他人の手の方は自分の想い通りには動かせません。これを自我意識といいます。

 自我意識とは、「自分が生きていること」や、「自分が存在していること」を認識する意識で、自分と外界(もしくは他者)を区別して 「自己の独自性」 を認識する意識です。

 人の意識はこの自我意識が大きく関わってきます。この自分の思いどうりに動かせる自身の手と思いどうりにはならない他人の手。人は自我意識 によって自分の想い通りにならない事に対してストレスを感じたり苦しみが生じたりします。

 仕事が思い通りにならなかったり、恋愛が想い通りにならなかったり、子育てが思うようにならなかったり、お金が思い通りにならなかったりで人生なかなか自分の想い通りにはならないものです。

 そのような時、人は悩み苦しんだりします。悩みや苦しみの根源には必ずこの「自分」という自我意識の存在があってこの意識のことを「自我」ともいいます。仏法では人間の苦しみの根源を煩悩といいますが、実はこの煩悩は全て「自我」から生じています。


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